EUの基準・規制

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検疫情報については農林水産省のHPにも記載しております。
こちらも適宜ご確認ください。

輸出手続きフロー図

品目の定義

本ページで定義する木材及びその製品並びに木炭のHSコード

4407:

木材(縦にひきもしくは割り、平削りしまたは丸剥ぎしたもので、厚さが6ミリメートルを超えるものに限るものとし、かんながけし、やすりがけしまたは縦継ぎしたものであるかないかを問わない。)

4412:

合板、ベニヤドパネルその他これらに類する積層木材

4413:

改良木材、高耐久木材(塊状、板状、ストリップ状又は形材のものに限る。)

輸入に必要な手続き

1. 植物検疫

調査時点:2023年3月

対象品目

4407木材、4412合板、4413改良木材(高耐久木材)

内容

「欧州委員会実施規則(EU) No.2019/2072」及び「欧州議会・理事会規則(EU) No.2016/2031」は、植物・植物製品・植物害虫に汚染される可能性のあるその他の材料(木製品や容器、土壌等)の輸入に関して規定しています。この規則に基づき、EUに輸入される特定の植物・植物を使った製品・その他の物品は、検査を受けたことを示す植物検疫証明書を提示する必要があります。

植物検疫処置には、①輸入禁止、②植物検疫証明書の提出、③検査と植物衛生チェックの実施、④輸入業者登録、⑤緊急措置の実施が含まれています。

  1. 輸入禁止:「欧州委員会実施規則(EU) No.2019/2072」の「別紙 VI」に含まれる非EU諸国に由来する植物、植物製品、その他は、「別紙 IX」に基づき、EU全体またはEUにより定義された保護区域への導入は禁止されています。
  2. 植物検疫証明書の提出:「欧州委員会実施規則(EU) No.2019/2072」の「付属書XI」および「別紙 XII」に記載されている植物・植物を使った製品の輸入を行う際には、輸出国の検疫当局が発行する植物検疫証明書(Phytosanitary certificate)を添付する必要があります。EU域内に物品が持ち込まれた後は、植物パスポート(特定の植物をEU域内で移動させるために必要な書類)が植物検疫証明書に代わって発行されることがあります。
  3. 検査と植物衛生チェックの実施:EU域内に物品が持ち込まれた時点で、②の証明書の検査と合わせて国境地点で実施されます。検査の内容は、書類の確認、物品が規則に準拠しているかに関する確認、植物・植物を使った製品・木材包装材を含む製品が特定要件と植物検疫措置に関する要件へ準拠しているかを確認する植物健康チェックです。
  4. 輸入業者登録:輸入者は、EU加盟国の公式登録を行い、公式登録番号を取得していることが必要です。
  5. 緊急措置の実施:上記の①~④の規定に反している場合は、緊急措置の実施対象となる可能性があります。

植物検疫において各木材製品に求められる処置条件等の詳細は、参考リンク「欧州委員会実施規則(EU) No.2019/2072」等を参考にしてください。

関連リンク

2. 輸入申告

調査時点:2023年3月

内容

EUへの輸入に必要な書類は、大きく分けて「一般種類」「特定種類」の二つです。
「一般書類」として必要な書類は以下の通りです。

  • インボイス(Commercial invoice)
  • 価格申告書(Customs value declaration)
  • 船積書類(Freight documents)
  • パッキングリスト(Paking list)
  • 原産地証明(Proof of origin)
  • 単一行政文書(SAD, Single administrative document)

※ 単一行政文書に関する詳細は、関連リンク「単一行政文書について」を確認してください。

「特定書類」として必要な書類は以下の通りです。

  • 植物衛生管理に関する文書(Plant health control)
  • EUTR対応文書(Control on illigal timber and timber products)
  • CPR対応文書・CEマーキング(Technical specifications for construction products)
  • ワシントン条約に基づく絶滅危惧種の保護のための許可証・証明書(CITES)
  • 木材フロアリング用ECOラベル(木材フロアリング材について推奨されるものであり、必須でない)

木材関連の規制

1. CN規格・CEマーキングの取得

調査時点:2023年3月

対象品目

4407木材、4412合板、4413改良木材(高耐久木材)

内容

「欧州議会・理事会規則(EC) No.765/2008」は、EU域内において販売される指定製品に貼付することが義務付けられる安全マークとしてCEマーキングを定めています。また、「欧州議会・理事会(EC規則) No.768/2008」では、製品の製造業者(輸入者)または第三者機関が規定に対する整合性評価を実施し、要求を満たした場合にCEマークを製品に表示することができるというプロセスを定めています。適合すべき基準のある指定製品にCEマークが貼付されていない場合、原則的にEU域内への輸入・販売はできないこととなっています。

「欧州議会・理事会規則(EU) No.305/2011(建築資材規則)」の「附属書 IV」には、木材製品は「13.構造用木材製品・要素及び付属品」「14.木材パネルとその要素」「19.フローリング」が定められています。これら附属書Ⅳに記載される製品については、欧州規格に適合していることを技術評価機関 (TAB:Technical Assessment Bodies)が、評価することとなっています。同規定においては、建築資材製品についてはCEマーキングが必須とされています。

CEマーキングの取得手順は、対象とする製品について、欧州規格(EN規格)が整備されている否かや、AVCPシステム(評価システム)における評価項目・評価実施者の定めなど、製品によってプロセスが異なる点に留意が必要となります。

2. EU木材規則・デューデリジェンスの実施

調査時点:2023年3月

対象品目

4407木材、4412合板、4413改良木材(高耐久木材)

内容

「欧州議会・理事会規則(EU) No.995/2010 (EU木材規則)」は、木材の出荷事業者・オペレーター・トレーダーが遵守しなければならない義務をそれぞれ定めています。本規則が適応される木材は「附属書」にて規定されており、HSコード 4407,4412,4413の物品は対象となっています。

木材の出荷事業者は、デューデリジェンスに必要な情報をオペレーターに提供する必要があります。

木材・木材製品を出荷事業者から買い取り、取引会社に販売する事業者(オペレーター)は、対象となっている木材・木材製品の出荷事業者毎にデューデリジェンスシステム(DDS)を適用する必要があります。デューデリジェンスシステムを適用する際は、独自で構築したシステム・外部のシステムのどちらを利用することも認められていますが、システムは以下の手順・原則に基づいている必要があります。

  • 情報へのアクセス:完全なリスク評価を実施するために、入手可能な木材及び木材製品のサプライチェーンに関する情報を収集する。
  • リスク評価:上記で特定された情報に基づき、「欧州議会・理事会規則(EU) No.995/2010 (EU木材規則)」で定められた基準のもと違法に伐採された木材製品が市場に流通するリスクを分析・評価する。
  • リスクの軽減:リスクを効果的に低減するための対策を講じる(特定されたリスクがごくわずかである場合を除く)。

木材の取引事業者(トレーダー)は、トレーサビリティ情報を管理し、デューデリジェンスに必要な情報を提供する義務が課されます。サプライチェーン全体を通して以下を特定し、下記の木材購入・販売記録に関する情報を最低5年間保存することが義務付けられています。

  • 木材・木材製品を納入した事業者又は取引業者
  • 木材・木材製品の納入先となる取引業者

関連リンク

3. 化学物質の登録、認可申請

調査時点:2023年3月

対象品目

REACH規則で定められる化学物質を含んだ木材製品

内容

「欧州議会・理事会規則(EC) No. 1907/2006 (REACH規則)」では、EU域内における化学品の登録・評価・認可・制限が規定されています。本規則では、化学品を製造または輸入する事業者に対して以下の義務が課されます。

  • 登録の義務:EU域内で製造または輸入する物質ごとの取扱量が年間1トン以上である事業者は、物質に関するECHAへ登録しなければなりません。
  • 認可申請の義務:認可対象物質(「別紙 XIV」で示されている物質)をEU域内で製造または輸入する事業者または物質を認可された条件以外で使用するエンドユーザーは、取扱量が年間1トン未満であっても、物質の用途や代替物に関する情報をECHAへ提出し、認可を得なければなりません。
  • 使用制限の義務:制限対象物質(「別紙 XVII」で示されている物質)は、指定された制限条件を守って製造・輸入・使用しなければなりません。
  • 情報伝達の義務:危険な物質・特定化学物質をEU域内で製造または輸入する事業者は、安全性データシート(SDS)をエンドユーザーに提供しなければなりません。

これらの義務に基づき、事業者はリスク評価を実施しなければなりません(化学検査については、第三者機関(SGA、Bureau Veritas等)へ依頼が可能)。また、完成品に含まれる化学物質の有無(濃度)や容量についても把握しなければなりません。製造・輸入事業者は、欧州化学物質庁に以下の書類を提出する必要があります。

  • 技術書類一式
  • 有害性評価、リスク評価に基づく化学物質安全性報告書(年間の製造・輸入量が事業者あたり10トン以上の化学物質について)

「ECHA登録ガイダンス」によると、「EU域内で化学物質等を製造する者、まはたEU域内で設立された法人で輸入に責任を負う者がECHAへの登録を行うこと」と規定されており、日本の木材製品製造事業者はECHAに登録する必要はありません。

4. 建設資材規則(CPR:Construction Products Regulation)

調査時点:2023年3月

対象品目

「欧州議会・理事会規則(EU) No. 305/2011(建築資材規則)」の「別紙IV」に記載される木材品目

内容

「欧州議会・理事会規則(EU) No. 305/2011(建築資材規則)」は、建設工事における基本的な要件を定めており、建築資材が満たさなければならない要件、およびその要件に適合させる方法についても規定しています。(例:構造用木材製品・木材パネル・床材は、欧州規格(EN)における技術仕様に規定されたCEマーキングを行うことが必須である、など)

欧州の建築基準は、ユーロコード(EU構造基準)として体系化されており、木造構造物については「EN1995ユーロコード5:木材構造物の設計」に定められています。
ここでは木構造の設計、耐火設計等の事項について定められているとともに、建築資材についてのEN規格等についても記載されています。

5. 森林認証

調査時点:2023年3月

内容

EU域内では、以下の森林認証が広く用いられています。

  • The Forest Stewardship Council (FSC):FM認証(森林管理に関する認証)、CoC認証(加工流通過程に関する認証)の2種類があります。認証審査ではFSCが定める10の原則と70の基準に基づき、第三者認証方式を用いて書類審査と現場審査が実施されます。
  • The Programme for the Endorsement of Forest Certification (PEFC):統一した審査基準は設けられておらず、国別で決められた審査基準に基づき加盟国内で相互認証されます。PEFC認証は、日本のSGEC認証と相互認証しています。
  • Origine et Légalité des Bois (OLB):FM認証(森林管理に関する認証)、CoC認証(加工流通過程に関する認証)の2種類があります。「OLB標準」に基づき、森林原産地と事業者が法令順守して森林管理、森林由来の商品の管理を実施しているかが審査されます。

輸入関税等

1. 関税

調査時点:2023年3月

対象品目

4407木材、4412合板、4413改良木材(高耐久木材)

内容

EU域内への輸入には、等しい関税率(共通関税率)が設定されています。共通関税率は「合同品目体系表(CN, Combined Nomenclature)」に基づく分類(CNコード)に基づき定められています。「欧州議会・理事会規則(EU) No.2658/87」に基づき、共通関税を含む貿易情報に関するデータベース「EUの統合関税率(TARIC, Integrated Tariff of the European Union)」が整備されています。
「EUの統合関税率(TARIC, Integrated Tariff of the European Union)」によると、日本からEUへ木材を輸出する際HSコード4413のには物品には共通関税がかかりません。

また、「日本・EU経済連携協定」(2019年2月1日発効)の枠組みのもと、HSコード4407, 4412の物品に対しては共通関税を段階的に削減し、以下の年数で撤廃することが定められています。
HSコード4407:協定発効から8年目
HSコード4412:協定発効から9年~11年目

他の国の基準・規制

国別の基準・規制についての
報告書(PDF)